へらない稲束

2006年12月29日
小学生向きの雑誌ってあるじゃないですか。小学館とかから出ている。
最近のああいう雑誌には「株を利用した儲け方」とかいう記事も載っているそうです。

確かに、村上ファンドとかライブドアの事件が世間を賑わせる今日この頃。
でも、小学生のうちからそんな記事を読ませるのはどうなのかなぁと思い、
自分の小学校のときに読んでいたものについて思いをめぐらせてみました。


小学校2,3年生のときの国語の教科書だったと思います。
「へらない稲束」という物語が載っていました。10年近く経った今でも覚えています。

そのお話の主人公は、中国かどこかの兄弟。
二人とも独立していて、農民として暮らしていました。
ある秋に収穫を済ませた後のこと。その兄は、こんなことを思いました。
「弟の家には子供も出来て何かと大変だろう。ウチで取れた稲を、こっそりと弟の家に分けてやろう」
兄は夜中に自分の家の稲を持ち出して、こっそりと弟の家の米倉に置いていったのでした。

兄はその次の晩にも、同じく米を弟の家に分けてあげようとしました。
しかし、兄はおかしなことに気付きました。
弟の家に米を分けてあげたはずなのに、自身の家の米倉の米が、ほとんど減っていないのです。
兄は、変だなぁと思いつつも、その晩も弟の家に米をこっそりと届けてあげました。

その後も兄は弟のことを思い、何日も弟の家に内緒で米を届けてあげました。
しかしやはり、弟の家に米を届けてあげているのにも関わらず、米はほとんど減りませんでした。

どうして米は減らないのだろう、兄はそんなことを考えながら、
夜中にまたひっそりと米を担いで弟の家に向かいました。
しかし暗い夜道で、あるものに鉢合わせしました。


それは、同じように米を担いでいる弟でした。

兄は(そして弟も)なぜ米が減っていなかったのかをすぐに理解しました。
そして、涙を流しながら抱き合ったといいます。


お金持ちになろうとすることは、けして悪いことだとは思いません。
でも、いまわたしたちが読むべきなのは、「へらない稲束」のようなお話なのだと思います。

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